ターゲティング・ペルソナとは?”誰に?”はマーケティングにおける最重要要素の一つ

この記事を書くきっかけ

この記事の筆者は、マーケティングスクールの講師をしています。マーケティングを教えていていつも感じるのは、マーケターとそうで無い人との違いは”ユーザー視点”を持っているか否か?です。

多くの人は消費者・生活者として日々買い物をして購買活動を”ユーザー”として行なっているにも関わらず、いざ集客をしようとなると途端に”提供者視点”に切り替わってしまいます。

ターゲット・ペルソナの設定は、マーケティングをする上で必須の”徹底的にユーザー視点に立つことの訓練”にもなります。

そこで正しいターゲティング・ペルソナの設定の仕方を以下に書いてみます。

結論

ターゲティングとは、メッセージを届ける対象母集団を定めること。

ペルソナとは、ターゲットの中の典型的ユーザー像のこと。

ターゲティングとペルソナ設定はそれぞれ目的が異なる。

ターゲティングとは?

ターゲティングは、市場全体を切り分けて、集客を行う上で広告宣伝におけるメッセージを”誰に”届けるか?を設定するものです。

ターゲティングをする目的

1.リソースの選択と集中をするため。

常にリソース(お金、時間、人など)は有限です。選択と集中をしなければお金と時間が無尽蔵に必要になるため、集中することで効果を最大化します。

2.Reachする手法を検討するため。

Targetを定めなければ、誰にどのようにReachすべきかわかりません。結果としてメディアもメッセージも検討することができません。

ターゲティングの代表的項目

ターゲティングは、効果的に売りたい商品の購買確率が高い人を狙うためのものです。そのため、特にターゲティングの項目に決まりはありません。サービスや商品で大きく変わります。

とはいえ、何も知らないとターゲティングの設定の仕様が無いため、以下に代表的な項目を記載します。

toCの代表的な設定項目

  • 年代
  • 性別
  • 地域
  • 職業 etc..

toBの代表的な設定項目 ※toBの場合は企業と個人の2つを設定

  • 業種
  • 従業員規模
  • 売上規模
  • 地域
  • 職種/職位
  • 年代
  • 性別 etc..)

ターゲティングの有効性を確認するための6R

ターゲットを設定するだけなら誰でもできます。有効なターゲットを設定することができて初めてターゲティングの意味があります。ターゲットが有効か否かを判断するフレームワークとして6Rがあります。

<6Rの使い方>

1.Realistic Scale=選択したTargetの市場規模は適切か?

2.Rate of Growth=選択したTargetの成長性は見込めるか?

3.Rank/Ripple Effect=選択したTargetにとって商品の優先度と関心は高いか?

4.Reach=設定したTargetに伝達/到達する手法があるか?

5.Rival=Targetに対する価値が競合他社と比較し、競争力はあるか?

6.Response=ReachしたTargetの反応は測定可能か?

1番の市場規模と、4番のTargetへの伝達/到達する手法があるか?というところは特に重視しています。

市場規模が小さすぎると問題ですし、TargetにReachできなければ意味がありません。

ペルソナとは?

商品・サービス提供対象者の典型的な人物像のことをペルソナといいます。

ペルソナは極限まで1人を掘り下げることが重要です。

ペルソナの代表的な設定項目

  • 名前
  • 年齢
  • 性別
  • 職業(業種・職種・職位)
  • 家族構成
  • 居住地
  • 出身地
  • 趣味
  • 世帯年収
  • 性格
  • 過去の経験(商品・サービス分野に関する)
  • 現在の課題(商品・サービス分野に関する)

特に重要なのは、商品・サービス分野に関する現在の課題と過去の経験です。

例えば対象の商品・サービスが「英会話スクール」だとしたら、「英語」に関する現在の課題と過去の課題といったイメージです。

ペルソナを設定する目的

ペルソナを設定すると以下3つのメリットがあります。

1.徹底したユーザー目線に立てる。

2.施策の具体性が増す。

3.チームで共通の認識を持つことができる。

4.1人に届くメッセージは、大勢に届く。全員に届けようとすると誰にも届かない。

ペルソナを設定するのは、ユーザー目線に立つことが最大の目的です。

極論を言えば個別具体的な典型的ユーザーの心理をすぐに洞察することができる人はペルソナを設定する必要はないかもしれません。

とはいえ、マーケティングはチームで取り組むことが多いため、共通認識を持つためにも言語化をする必要があります。

ペルソナの有効性を確認する

ターゲットと同様に、ペルソナもその有効性を確認する必要があります。

チェックポイントとしては以下の4点です。

1.選定したエビデンスはあるか?

2.Targetに属しているか?

3.商品・サービスの典型的ユーザー像か?

4.商品・サービスの強みが響くユーザーか?

ターゲットとペルソナの違い

ターゲットは、「ユーザー群」のこと。

ペルソナは、「ターゲットの中の典型的ユーザー像」のこと。

ターゲットとペルソナはそれぞれ設定する目的が違います。

上述したように、ターゲティングは購買確率の高いユーザー群を選別することであり、ペルソナ設定は、ユーザー視点に立つことで施策の具体性を持たせることが目的です。

ペルソナ不要論の是非

マーケターによってはペルソナは不要だという人も多くいます。

ダイレクトマーケティング界の巨人である北の達人コーポレーションの代表、木下勝久さんも”ペルソナを細かく設定しすぎると規模をいたずらに狭めることになる”とおっしゃっています。

長年Webマーケティングに携わってきたので、ペルソナを不要だ、細かく設定しすぎると問題があるというご意見も一部わかります。

結局のところ、これは誰にとっての議論か?というところに依ると思っています。

私の場合は、Webマーケティングスクールの講師を勤めている私の場合は、マーケティング初心者視点に立った観点からすると、ペルソナは設定した方が良いし、細かく定めた方が良いと考えています。

ペルソナを設定した方が良い理由

上述した通り、ペルソナを設定すると”ユーザー視点に立ちやすい”というところに尽きると思います。

マーケティング歴が長くなると、自身の購買活動においても言語化する癖がついてくるため、ユーザー視点に立つのは習慣化しますが、初心者はそうではありません。

その訓練をするためにもペルソナ設定は意味があると思います。

ペルソナを設定すると対象者が狭まりすぎることへの対策

前述した北の達人コーポレーション代表 木下勝久さんがその著書の中で、以下のように語っている。

ターゲットが狭くなりすぎて、反応数が極端に減るのである。<中略>プロダクトのペルソナはUSPやベネフィットを起点に、最大公約数的に設定すべきであり・・・

木下勝久著 ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング

これは前提としてペルソナをそのままターゲティングに使用するという前提を元に語られていると思う。

私の場合はそうではない。

ターゲティングとペルソナは別物です。

例えば広告のターゲティングをする際はあくまで”ターゲティング”で設定したターゲットに向けて設計する。

ペルソナは主にクリエイティブのコピーライティングやカスタマージャーニーを想定する際に使う。

こうすれば、ターゲットが狭くなりすぎることはないと考える次第である。

まとめ

ターゲティングとは、メッセージを届ける対象母集団を定めること。

ペルソナとは、ターゲットの中の典型的ユーザー像のこと。

ターゲティングとペルソナ設定はそれぞれ目的が異なる。

以上です。この記事によって誰かのマーケティングの参考になれば幸いです。